猛暑日が続き路上には蝉の声が響き渡る、いつもと変わらないお盆の季節が
やってきました。多くの方がお盆休みを実家や旅行先で過ごされると思います。
ところで夏は有毒害虫との出会いが非常に多いので、刺されたり咬まれたりして嫌な思い出を残さないためにも注意が必要です。
そこで、有毒生物に関する情報をお届けします。部屋の灯りに呼び寄せられてひょっこり家の中にやってくる、アオバアリガタハネカクシについてです。
●○●○●○ 有毒害虫特集（アオバアリガタハネカクシ編） ○●○●○●
■一見、毒虫には見えない
体の大きさは6ミリほどで全体的に長細く、頭とおしりの先が黒色、前翅は
藍色をしており、あとは鮮やかなオレンジ色です。イメージ的には少し大きくて
カラフルなシロアリといったところでしょうか。
ぱっと見た感じでは毒のある虫とは思えません。
■光に誘引されて屋内へ
さて、このアオバアリガタハネカクシですが、普段は田んぼや河原、池の
周りなど湿り気の多い場所に生息しています。移動手段は歩行が中心ですが
成虫は飛翔することも可能です。また、成虫は光に誘引されるため、夜間に
灯火の光を目指して家屋周辺に飛来することがあります。窓を開けっ放しに
していると、そこから屋内に侵入することもしばしばです。
■体液中に毒を持つ
そしてここからが本題ですが、彼らは体液中にペデリンという有毒物質を
持ちます。これは人の皮膚に触れると水泡を伴う炎症を起こします。なので
例えば彼らが床の上にいることを知らずに素足で踏み潰してしまった時や、
布団の上にいることに気付かずうっかり寝返りをうった時などに被害が発生
します。
■這われただけで炎症を起こすことも
また、彼らは危険を察知すると足の節々（腿節や脛節のあたり）から体液を
分泌します。つまり運が悪いと皮膚の上を這われたりするだけで炎症を起こす
場合もあります。さらに眼の中に飛び込んできたものが結膜炎や角膜炎などの
原因となった事例も多く報告されています。
■もしも被害にあったら？
医師の診察を受けることが推奨されます。応急処置としては、患部を水で
洗い流す、抗ヒスタミン剤含有のステロイド軟膏を塗布するなどします。
また、被害に遭わないためには窓や戸を開けっ放しにせず、屋外からの侵入を
予防するなどの対策を立てましょう。
■駆除方法
発生源対策が難しいため、基本的に侵入防止が中心となります。中でも
灯火に誘引されるため、照明を防虫ランプに交換したり、窓ガラスに紫外線
カットフィルムを貼るなどの対策が有効と思われます。また、建物の外壁や
窓ガラスへの飛来が多い場合は、あらかじめ殺虫剤を散布しておくことも
効果的です。
※参考文献
・原色ペストコントロール図説第5集 黒澤敬 著 社団法人日本ペストコントロール協会
